霊芝の寺子屋[れいしのてらこや]

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漢方の薬用キノコ「霊芝(れいし)」は癌(がん)治療に効果があるのか?

chiryou_170112漢方の薬用キノコの霊芝(れいし)の効能効果に抗癌(がん)作用と免疫力向上(調整)作用があります。

検索でも「霊芝」と打って、スペースを空けると「癌」と出るほど。

それだけ癌(がん)になった人にとって霊芝は「がんに効く」ものとして認識されているということでしょうか。

しかし、本当に霊芝はがん治療に役立つものなのでしょうか?

今回はそのことについて考えていきます。

なぜがん治療は三大療法なのか?

日本全国の病院ではがんと診断されると手術、抗がん剤治療、放射線治療の三大療法が行われます。

 

なぜこの3つの治療法ががん治療の基本として行われるのでしょうか?

これには大きく2つの理由があります。

1つは三大療法には「エビデンス」と呼ばれる臨床結果や検証結果などの科学的根拠があるからです。

もう少し砕いていうと、ちゃんとデータが確立しているということです。

 

例えば抗がん剤だとどのくらいの人に効くのかが「%」で出ています。

もちろんそこには製薬会社が莫大(ばくだい)な投資をして薬と認められるだけの効果を検証し、データを蓄積しているためにできること。

だから効く「%」が出るのです。

 

確率が分かれば、治療を行う医師もその後の治療が想定できます。

そのために数値の根拠がある三大療法が採用されているのです。

 

そしてもう1つの理由ですが、医師には各症状別に「ガイドライン」、つまり治療マニュアルがあります。

ガイドラインはばらばらになりがちな全国の医師の技術を一定水準に保つことを本来の目的としています。

 

ところがこのガイドラインに医師は縛られることにもなるのです。

あるがんにはどのような治療法をするのかが明確になっている反面、目の前の患者さんがそのガイドラインに沿った治療では、効果が出ないと感じてもガイドライン通りの治療をすることになります。

 

なぜそのようなことになるのかというと、万が一、医療訴訟になったときの予防線の意味もあるのです。

「ガイドラインに沿って治療を行った」ということは、訴訟時の反論として非常に有効です。

 

もしガイドラインから外れた治療を行い、訴訟になった場合、地域の医師会をはじめ多くの医師は訴えられた医師に手を差し伸べません。

そのためそのようなリスクを冒してまでガイドラインから外れた治療は行われないのが現状です。

 

このようなことは何人もの医師がさまざまな本で書いていることなので、ご存じの方も多いかもしれません。

 

抗がん剤治療とはどのようなものか?

さて、がん治療のメインといってもいいのが、抗がん剤治療です。

抗がん剤は主に手術をする前に大きくなり過ぎたがん細胞を小さくしたり、抗がん剤で直接がん細胞をたたいて殺したりするために使われます。

 

がんの三大療法は別名「標準療法」ともいわれます。

この「標準」という言葉で誤解を招くことも。

抗がん剤治療の投与は「標準」量で行われると思ってしまう患者さんがいます。

 

しかし、一般的な抗がん剤治療は強い抗がん剤を最大量投与することから始まります。

というのもがん細胞を小さくしたり、殺したりするためには強力なものでないと難しいのです。

そのため「標準」量での抗がん剤治療を想定していたが、予想以上の副作用で体力を消耗し、戸惑う患者さんが多くいます。

 

この抗がん剤治療には「リバウンド」というものが発生することをご存じでしょうか?

これは強力な抗がん剤で一時的に縮小したがん細胞が、その後、投与していた抗がん剤に耐性を持ち、投与した抗がん剤が効かなくなり再び増殖をすることです。

 

リバウンドが起こると次の強い抗がん剤が投与されます。

そしてまたリバウンドが起きる。

これを順次続けていくと、強い抗がん剤がなくなり、手の打ちようがなくなるのが今の抗がん剤治療なのです。

 

この辺りもさまざまな医師が抗がん剤治療に関しての本を出版しています。

読み進めると怖くなってきます。

 

そんな抗がん剤の副作用の1つが免疫力の低下です。

本来は抗がんのためにも自分の免疫力を高めなければならないのですが、強い抗がん剤を投与することで、逆の結果になってしまうことも。

このことが抗がん剤治療の課題としてあるのです。

 

三大療法以外の療法として注目されている免疫療法

三大療法以外に最近、注目されているのが第四の治療法と呼ばれる「免疫療法」です。

免疫療法自体、さまざまな方法がありますが、ポイントは自分の体の免疫力を使ってがんと対峙(たいじ)するということ。

 

そもそもがんになってしまった原因の1つが自分の免疫力が低下して、がん細胞の増殖を抑えきれなかったためです。

免疫力は乱れた生活や加齢、低体温(冷え)などでも低下します。

 

とくに体が冷えることで免疫力は著しく低下することに。

体温が1℃下がると免疫力は約30%下がるといわれています。

反対にがん細胞は体温が低下すると増殖し、上昇すると増殖しにくくなる特徴があるのです。

 

免疫療法は抗がん剤などの副作用で低下してしまった免疫力を上げることもあり、三大療法と併用を行っている病院も一部にあります。

免疫療法は一定の効果があることが医師の間でも知られていますが、一部を除いて保険が効かないという課題が。

つまり治療費はすべて実費で患者さんが負担することになり、経済的な圧迫は避けられません。

 

そのような免疫療法を補完するような役割として免疫力を上げたり、抗がん作用があったりするサプリメントがあります。

霊芝もその中の1つなのです。

 

霊芝は免疫療法の補完ができるのか?

霊芝はさまざまな大学で漢方の素材として研究がされてきており、免疫力を上げたり、抗がん作用があったりということが知られています。

 

しかしその実験データは、冒頭でも触れました医薬品レベルまでの「エビデンス」には到達していないのが現状です。

それでも多くの人にとって関心があるため、インターネットの検索のときにも「霊芝 癌」と自動的に出るのだと思います。

 

霊芝自体に効果があることが分かっていても、万人に効くものとはいえないのが現状でしょう。

それでも私の周囲でもがん治療と併用して霊芝を飲んでいる方が何人かいます。

 

QOL(Quality Of Life)と呼ばれる「生活の質」が改善された人もいますし、お亡くなりになってしまった人もいます。

残念ながら霊芝は万能薬ではありません。

 

当然、そのような現実があるのですが、それでも改善に向かっている人たちの話を聞く機会がありました。

 

まだ数人レベルですが、2つのことが共通していました。

1つは先にも触れましたが積極的に体を温めて、自己の免疫力を高める努力をしていること。

がん患者さんの体温は健常人よりも低いので、がん細胞が増殖しやすい状況にあります。

そこで体温を上げるためにさまざまな努力をされています。

 

体が冷えることで腸の働きが鈍ります。

腸内には人体のおよそ60%もの免疫細胞が存在しているのです。

腸の働きが鈍るということは、この免疫細胞にも悪影響を及ぼし、免疫力の低下につながります。

 

腸の働きを改善するということは、吸収を良くするだけでなく、免疫力を高めることにもなるのです。

 

もう1つは腸内環境の改善をされているということ。

霊芝をはじめ多くのサプリメントの有効成分を吸収するのは腸です。

ところが腸内環境が悪いと腸の吸収の働きが衰え、有効成分も十分に吸収できなくなります。

 

それだけではありません。

腸内環境が悪いと体を冷やす原因にもなります。

悪化した腸内は悪玉菌優勢です。

悪玉菌は毒素を排出し、それが腸を通じて血液に取り込まれます。

汚れた血液は血流を悪化させ、血行不良を引き起こし、体を冷えさせるのです。

 

そのためQOLが改善された患者さんは腸内環境を良くするためのサプリメント、いわゆる乳酸菌生産物質と呼ばれるものを飲まれていました。

 

これもエビデンスがある訳ではないので、何ともいえませんが情報の1つとして書いておきます。

 

もし霊芝を飲まれるのであれば、体を温めて免疫力を上げることと、霊芝の有効成分をより吸収しやすくするために腸内環境を改善することを併せて行うことがお勧めです。

 

霊芝はどれでもいいのか?

いざ霊芝を飲もうと思ったときに迷われるのが、どのメーカーの霊芝を選ぶかということだと思います。

 

霊芝は国産だけでなく、台湾産などの製品も流通しており、どれがいいのか判断できないというのが正直なところです。

 

私もすべてのメーカーの霊芝サプリメントを試している訳ではありません。

ただ知人などに訊かれたときには、以下のような基準を紹介しています。

 

それは大きく3つあります。

国産の霊芝であること

インターネットで調べると分かりますが、霊芝は国産だけでなく、中国産なども広く流通しています。

 

中国産は一般的に土壌汚染の問題などで不安が消し去れません。

また人体に影響が出る量の放射線照射で殺菌を行っているという報告もあります。

 

そのため各メーカーのサイトで原産国を調べるといいでしょう。

もし海外産でしたらそのメーカーは避けるようにして、国産を選んだ方が安心です。

GMP工場で作られていること

大手のメーカーでも自社工場で製造している会社はあまりありません。

ほとんどが専門の工場に依頼をして、商品を製造しています。

 

「GMP」とは「Good Manufacturing Practice」の略で、もともとは医薬品の製造管理のためのガイドラインでした。

このガイドラインに沿った施設と手順で作られるということは、医薬品製造と同等のレベルを持っているということです。

 

GMP工場は公益財団法人日本健康・栄養食品協会と一般社団法人日本健康食品規格協会の2つの組織が第三者機関として厳しいチェックをし、認定を出しています。

 

一説によると日本全国にはサプリメントを製造する工場施設が約5,000カ所もあるとのこと。

この中でGMP工場の認定を受けているのはまだまだ少数です。

 

品質管理などをしっかりと行っている工場で作られることで、サプリメントの品質が保たれるため、より安心感が増します。

「ショ糖脂肪酸エステル」が入っていないこと

サプリメントには霊芝以外にもさまざまな原材料名が書かれています。

それらはエキスを粉末化したり、錠剤を固めたりとさまざまな役割があるのです。

 

確かになじみのない言葉がパッケージにずらっと表記されていると、「このサプリメント、大丈夫かな」と思ってしまいますよね。

 

原材料名に記載されている多くの原料は医薬品でも使用されていることもあり、過剰に心配する必要はありません。

心配な場合は原料名で検索すると、どのような役割があって入っているのかが分かります。

 

ただし、1つだけ避けたい原料があります。

それが「ショ糖脂肪酸エステル」という食品添加物です。

 

ショ糖脂肪酸エステルには発がん性や胎児への染色体異常、下痢などを引き起こす可能性があることが知られています。

 

1つの錠剤に配合されている量は少量でしょうが、毎日飲むことを考えると不安です。

無用な不安は感じる必要がないので、ショ糖脂肪酸エステルと記載れているサプリメントは避けた方が無難です。

 

 

他にも抽出技術などでエキスの抽出される量が違うなどもあるので、これが「正解」とはいえませんが、まずは以上3つの基準を満たしているのであれば、大外しはしないと思います。

 

まとめ

霊芝ががん治療に効果があるかといえば、全員に効果があるとはいえないでしょう。

この世の中で全員に効果が出るものは毒だけです。

医薬品でさえも、ある一定の割合でしか効きません。

 

とくに抗がん治療では副作用が激しく、体力を消耗するだけでなく、免疫力を低下させることもあります。

 

そのため現在では第四のがん治療として免疫療法が注目されています。

これは自己の免疫力を高め、がん細胞と闘うというもの。

この免疫療法の一助になるのが霊芝です。

 

ただし霊芝の有効成分をしっかりと働かせるためには体温を高めることと、腸内環境を良くすることの2つを併せて行うことがポイントです。

 

また、霊芝サプリメントを実際に試したいという場合、国産霊芝であること、GMP工場で製造されていること、ショ糖脂肪酸エステルという食品添加物が入っていないことの3つを基準にして選ぶと大外しはしないと思います。